みんなに話せる都市伝説

エリア51の秘密

「宇宙人は本当にここへ運ばれたのか?」

アメリカ・ネバダ州。

人里離れた砂漠の中に、巨大な軍事施設があります。

その名前は――

エリア51(Area 51)。

世界で最も有名な「秘密基地」の一つです。

周囲には一般人が立ち入れない広大な軍事区域。
基地の詳細な活動内容は長年にわたって秘密にされ、上空から撮影された衛星画像などを除けば、その内部を自由に知ることもできません。

そして、いつしかエリア51には、とてつもない噂がつきまとうようになりました。

「ここには宇宙人がいる」

「墜落したUFOが運び込まれている」

「宇宙船を解体して研究している」

「宇宙人の遺体が保管されている」

さらには、

「アメリカ政府は地球外生命体との接触を隠している」

という説まであります。

しかし、エリア51が謎に包まれてきた理由は、単なる都市伝説だけではありません。

実際にここでは、長年にわたって極秘の航空機開発が行われていました。

つまり――。

「宇宙人はいなかったとしても、エリア51が本当に秘密だらけの場所だった」

ことは確かなのです。

■ エリア51は本当に存在する

まず、エリア51そのものは都市伝説ではありません。

アメリカ・ネバダ州南部のグルーム湖(Groom Lake)周辺に存在する、アメリカ軍関連の施設です。

正式名称として広く知られている「Area 51」は、地図上の区域番号に由来する呼び方です。

また、

Groom Lake

Homey Airport

などの名称でも知られています。

長い間、アメリカ政府はこの施設について極めて限定的な情報しか公開していませんでした。

そのため、

「地図に存在しない秘密基地」

「政府が存在そのものを隠している基地」

といったイメージが広がっていきました。

しかし2013年、CIAが公開した資料によって、エリア51が冷戦期の極秘航空機開発に使用されていたことが広く知られるようになります。

そして、ここからエリア51の本当の秘密が見えてきます。

■ そもそも何のために作られたのか?

エリア51が特に重要な役割を果たしたのは、冷戦時代です。

アメリカとソ連が激しく対立していた1950年代。

両国は互いの軍事能力を知るため、情報収集に力を入れていました。

そこでアメリカが開発したのが、

U-2偵察機

です。

U-2は非常に高い高度を飛行し、敵国の軍事施設などを偵察するための航空機でした。

当時としては極めて先進的な航空機です。

しかし、当然ながら、

「こんな高度を飛ぶ飛行機を、ソ連に知られてはいけない」

という問題がありました。

そこで必要になったのが、

人目につかない場所。

それがグルーム湖周辺でした。

■ なぜ「宇宙人の基地」と勘違いされたのか?

ここがエリア51最大の謎です。

1950年代から1960年代にかけて、アメリカでは「UFOを見た」という報告が大量に寄せられました。

奇妙な光。

高速で移動する物体。

見たことのない飛行機。

空に浮かぶ謎の機体。

しかし、その一部は、

当時まだ一般人には存在すら知られていなかった秘密航空機

だった可能性があります。

U-2は通常の航空機よりはるかに高い高度を飛行しました。

一般の人々がその姿を見れば、

「あれは何だ?」

となるのは当然です。

しかも政府は、

「それは新型偵察機です」

とは言えません。

秘密だからです。

結果として、

政府が説明できない謎の飛行物体

が誕生しました。

そして、その正体不明の飛行物体が、

「UFO」

と呼ばれるようになっていきます。

■ 「政府が何も言わない」ことが、噂を巨大化させた

エリア51の都市伝説には、非常に単純な構造があります。

謎の飛行物体が目撃される。



政府は詳細を説明しない。



「何か隠しているのでは?」



「秘密基地があるらしい」



「UFOを研究しているのでは?」



「宇宙人もいるのでは?」

という具合です。

これは陰謀論が巨大化していく典型的なパターンです。

しかもエリア51の場合、

本当に秘密の航空機を開発していた

ので、単なる妄想だけではありませんでした。

■ さらに奇妙な飛行機「SR-71」

エリア51と関係が深い航空機として知られているのが、

SR-71ブラックバード

です。

マッハ3を超える速度で飛行し、非常に高い高度を飛ぶ偵察機でした。

黒く細長い独特のデザイン。

普通の飛行機とは明らかに違う姿。

そして、

「そんな飛行機が本当に存在するとは誰も知らなかった」

という時代背景。

もし1960年代の夜空でSR-71のような機体を目撃したら、

「宇宙船では?」

と考えてしまっても不思議ではありません。

エリア51周辺で目撃された「UFO」の一部には、こうした極秘航空機が含まれていた可能性があると考えられています。

■ ステルス戦闘機もここで開発された?

さらにエリア51の秘密を語る上で重要なのが、

ステルス技術

です。

レーダーに発見されにくい航空機を作る技術。

現在ではF-117などで知られていますが、こうした航空技術の研究にもエリア51周辺の施設が関わってきました。

F-117のデザインは非常に独特です。

直線的な機体。

角ばった形状。

従来の飛行機とは全く違う外観。

もし一般人がその存在を知らない時代に夜空で目撃したら、

「普通の飛行機ではない」

と思うでしょう。

そして、またUFOの目撃情報につながります。

■ 「ロズウェル事件」とエリア51は関係している?

ここで、UFO史上最大級の事件が登場します。

ロズウェル事件。

1947年、ニューメキシコ州ロズウェル付近で奇妙な残骸が回収されました。

当初、アメリカ軍関係者が「空飛ぶ円盤を回収した」と受け取れる発表をしたことで、一気に騒ぎになりました。

その後、軍は説明を変更。

残骸は気象観測用の装置などに関係するものだと説明しました。

しかし――。

「最初の発表と違う」

という事実が、人々の疑念を生みます。

そして後世の都市伝説では、

「墜落したUFOと宇宙人の遺体が回収され、それがエリア51へ運ばれた」

という物語へ発展しました。

ただし、ロズウェル事件とエリア51を直接結びつける確かな証拠はありません。

そもそもロズウェル事件が起きた1947年には、現在「エリア51」と呼ばれる施設はまだ存在していません。

それでも、

「ロズウェルで回収されたUFO」→「秘密基地エリア51」

というストーリーは、UFO都市伝説の中で非常に強力な物語になりました。

■ 「宇宙人の死体」が保管されている?

エリア51の噂の中でも特に有名なのが、

「宇宙人の遺体」

です。

UFOが墜落した。

宇宙船が回収された。

中から宇宙人が発見された。

そして、その遺体をアメリカ政府が秘密裏に保管している――。

そんな説があります。

さらに、

「解剖映像が存在する」

「政府関係者が宇宙人を見た」

「医師が遺体を調査した」

など、様々な証言も登場します。

しかし、決定的な物証はありません。

特に有名な「宇宙人解剖映像」についても、後に制作関係者がフィクションとして制作したことを認めています。

つまり、

「宇宙人の遺体がエリア51に存在する」という確かな証拠はない

のです。

■ 「宇宙船そのものを研究している」という説

さらに都市伝説は進みます。

「宇宙人そのものがいる」のではなく、

墜落した宇宙船をアメリカ政府が回収している

という説です。

宇宙船の金属。

推進システム。

反重力装置。

エネルギー源。

それらを解析することで、人類の科学技術を飛躍的に進歩させようとしている――。

この説から、

「現在の人類の技術は、宇宙人の技術を元にしている」

という話まで生まれます。

スマートフォン。

インターネット。

レーザー。

半導体。

ステルス技術。

これらの技術が「宇宙人からもたらされた」という噂です。

しかし、これらが地球外文明の技術から生まれたことを示す科学的証拠はありません。

■ 「宇宙人と政府はすでに接触している?」

さらに驚くべき説があります。

それは、

「アメリカ政府はすでに宇宙人と接触している」

というもの。

ただ研究しているのではありません。

宇宙人と秘密裏に交渉しているというのです。

そして、

「地球外生命体の存在を公表しない代わりに、宇宙人から技術を提供してもらう」

という秘密協定まで存在する――。

これが事実なら、エリア51は単なる軍事基地ではありません。

人類と宇宙文明が初めて接触した場所

ということになります。

もちろん、この説を裏付ける確かな証拠はありません。

■ エリア51には地下施設がある?

エリア51の都市伝説では、

「巨大な地下基地が存在する」

という話も有名です。

地上には滑走路や建物しか見えない。

しかし地下には、

UFO格納庫

宇宙人研究施設

極秘研究所

地下トンネル

巨大な実験施設

などが存在すると言われています。

中には、

「地下何十階にも及ぶ巨大施設がある」

という話まであります。

実際、軍事施設で地下設備が存在する可能性そのものは否定できません。

しかし、

「宇宙人研究施設が地下に存在する」

という証拠は確認されていません。

■ エリア51の「ボブ・ラザー事件」

エリア51の都市伝説を世界的に有名にした人物として、

ボブ・ラザー

の名前は外せません。

1989年、ラザーはテレビ番組などで、

「エリア51の近くにあるS-4という施設で、宇宙船を研究していた」

と主張しました。

さらに、

「宇宙船は反重力技術によって飛行している」

と証言。

そして、UFOの動力源として、

「元素115」

が使われていると語りました。

その証言は世界中に衝撃を与えます。

「本当にエリア51で宇宙船を研究しているのでは?」

という疑惑が一気に広がりました。

ただし、ラザーの学歴や経歴については長年議論があり、証言の信頼性についても意見が分かれています。

また、彼の証言だけでは、宇宙船や宇宙人の存在を科学的に証明することはできません。

■ ところが「元素115」は実際に発見された

ここで、エリア51の都市伝説の中でも非常に面白い話が登場します。

ラザーが語った、

「元素115」

です。

当時、元素115はまだ正式に発見されていませんでした。

ところが2003年、ロシアとアメリカの研究者によって元素115の存在が確認されました。

現在は、

モスコビウム(Mc)

と呼ばれています。

これを見た人々は、

「ボブ・ラザーは本当に知っていたのでは?」

と考えました。

しかし、ここにも注意が必要です。

現在確認されているモスコビウムは非常に不安定な元素であり、ラザーが語ったような「宇宙船を動かす燃料」として利用できることが確認されたわけではありません。

つまり、

「元素115が実際に発見された」

ことと、

「ラザーの宇宙船理論が証明された」

ことは全く別です。

それでも、この偶然の一致がエリア51伝説をさらに強固なものにしました。

■ 「エリア51をGoogle Earthで見てはいけない?」

インターネットが普及すると、エリア51はさらに身近な存在になりました。

衛星画像を見ることができるようになったからです。

かつては、

「存在そのものが秘密」

だった基地を、一般人が自宅のパソコンから見ることができる。

そして画像を拡大すると、

滑走路。

格納庫。

建物。

道路。

砂漠。

――様々なものが確認できます。

しかし当然ながら、衛星画像だけでは内部で何が行われているのかまでは分かりません。

この「見えているのに分からない」という状態が、さらに想像力を刺激します。

■ 「エリア51に侵入する」という事件

2019年、インターネット上で奇妙なイベントが話題になりました。

その名も、

「Storm Area 51」



「エリア51に突入して宇宙人を見つけよう」

という趣旨のネットイベントです。

SNSで爆発的に拡散し、数百万人規模の参加予定者が表示されたことから、世界中のメディアが注目しました。

もちろん、実際に軍事施設へ侵入するのは非常に危険です。

最終的には、本格的な「エリア51突入作戦」にはなりませんでした。

しかし、この出来事は、

「エリア51=宇宙人がいる場所」

というイメージが、もはや世界規模のポップカルチャーになっていることを示しました。

■ 実は「秘密基地」だったからこそUFO伝説が生まれた?

ここで、エリア51をめぐる話を逆から考えてみましょう。

「宇宙人がいたから秘密だった」

のではなく、

「本当に秘密の航空機を開発していたから、結果的に宇宙人の噂が生まれた」

のではないか。

こちらの方が、歴史的にはかなり説明しやすいのです。

当時の人々には見えない航空技術。

政府による情報統制。

極秘軍事施設。

奇妙な形の航空機。

そして、政府の沈黙。

これらが全部組み合わさると、

「UFOを隠している」

という物語が生まれます。

■ それでも「本当に宇宙人はいない」と断言できるのか?

ここが、エリア51の最大の魅力です。

「宇宙人がいる」という証拠はありません。

しかし、

「エリア51の内部で何が行われているのか」

について、一般人がすべてを知っているわけでもありません。

軍事技術の研究には、当然ながら秘密があります。

現在もアメリカ政府は新しい航空技術や軍事技術を研究しています。

だから、

「未知の航空技術が存在する」

可能性と、

「宇宙人の宇宙船が存在する」

可能性は、まったく別に考えなければなりません。

エリア51について「分かっていないこと」があるからといって、その空白を「宇宙人」で埋める必要はないのです。

■ もし、本当に宇宙船が隠されていたら?

ここからは、都市伝説として想像してみましょう。

深夜。

ネバダ砂漠の奥深く。

厳重な警備を突破した先に、巨大な格納庫がある。

扉が開く。

そこに置かれているのは――。

人類が作った航空機とは明らかに違う、銀色の物体。

翼がない。

エンジンもない。

しかし、浮いている。

その横には、半世紀以上前に回収されたという謎の残骸。

さらに奥には、

「人類がまだ理解できない技術」

が保管されている。

もしそんな場所が本当に存在していたら。

人類史上最大の秘密です。

そして、その秘密を守るためなら、

「エリア51という基地そのものを都市伝説にしてしまう」

という方法も、非常に効果的なのかもしれません。

■ エリア51の本当の秘密

現時点で確認されている事実を整理すると、

エリア51は実在する。

冷戦期に極秘航空機の開発・試験に使われた。

U-2やその他の高度な航空技術との関係が知られている。

その秘密主義が、UFO目撃情報と結びついた。

一方、

宇宙人が基地にいる。

宇宙船を保管している。

宇宙人の遺体を研究している。

地球外文明と秘密協定を結んでいる。

――これらを裏付ける確かな証拠はありません。

つまり、

「エリア51に秘密がある」

という部分は間違いありません。

ただし、

「その秘密=宇宙人」

とは限らないのです。

■ 最後に残る、最大の謎

エリア51が面白いのは、完全なフィクションではないところです。

秘密基地は本当に存在する。

極秘航空機も本当に存在した。

政府が情報を隠していたことも事実。

そして、実際に一般人には理解できない飛行物体が空を飛んでいた。

そのため、

「では、まだ公表されていない技術の中に、本当に私たちが知らないものが存在するのでは?」

という疑問だけは残ります。

もちろん、それが宇宙人の技術である証拠はありません。

しかし軍事技術の世界では、数十年前には「あり得ない」と思われていた技術が、後になって実用化されることもあります。

だからこそエリア51は、今でも人々を惹きつけます。

宇宙人がいるから謎なのではない。

「本当に秘密が存在する場所だからこそ、宇宙人という最大級の物語が生まれてしまった」

――そう考えることもできます。

そして、もしエリア51の格納庫の扉が、ある日突然世界中に公開されたとしたら。

そこにあるのは、

最新鋭の航空機なのか。

誰も見たことのない新技術なのか。

それとも――。

本当に「地球外から来た何か」なのか。

その答えを知っている人間が、もし本当に存在するのだとしたら。

彼らが今も沈黙を続けていることこそが、

エリア51最大の「秘密」なのかもしれません。
トップに戻る